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灘中算数第1日(60分・100点)
[1]逆算
2021が隠された逆算問題。
ただ定石に従って計算するのではなく、どこかで約分できないか意識する必要がある。
[2]和差算
3つの容器に入っている水のやり取り。
算数的にやるなら線分図を書いて解くことになるだろうが、方程式っぽく処理した方が楽そうである。
[3]場合の数
各位の数の和が5になる整数の個数。
四桁の個数だけならコンビネーションで一発だが、後半で2021は小さい方から何番目と聞かれているので、書き出した方が確実かも?
[4]旅人算
出発地点と速さが異なる3点の出会い。
見た目は複雑そうだが、道のりの和の比とかかった時間の比がわかっているので、速さの比がわかってあっさり解決。愛光1枚目にありそうな問題。
[5]数の性質
2桁の整数の2乗を15で割った余りを1にする。
15=3×5だから余りを考えて1の位は4か6、しかも3の倍数ではないから、と考えていくと実は…という展開か。
近年の灘では「整数のN乗をある整数で割った余りの考察」がよく出題されているから、今後もしばらくは要注意。
[6]約束計算(約数)
約数の積を考察する問題。
整数を2倍することで約数がどう変化するかを考える必要があると思いきや、前半で求めた具体例が大ヒントになっている。例年の灘なら、192ではなく921600あたりに設定してても不思議ではないから、本年は手加減モード?
[7]推理
3桁の整数を7倍してできる4桁の整数の考察。
問題の条件から、4桁の整数は15個に限定されるので、それを頑張って7で割る、ってことかなぁ…。他にもっといい方法があるのかもしれない。
[8]転がし移動
小さな長方形の外側を正三角形が転がる。
回転の中心に気をつけて作図するだけ。例年であれば作図してからの工夫が勝負となるが本年に関してはそれはなし。
[9]面積比
三角形の各辺に点を取って三角形をつくる。
中学入試算数テキストの標準レベル。
[10]相似
直角三角形を分割して組み合わせ直した図形の重なりの考察。
相似はもちろん、直角三角形や二等辺三角形を見つけて考えることになるが(見た目とは裏腹に)灘特有の工夫が必要なわけではない。
[11]表面積
三角すいに水を入れてぬれる部分の面積。
もとの容器のうちどの面積が増えてどの面積が減るかの考察ができれば、答えの見当がつくだろう。しかしここで相似比を求めようとすると、ハマってしまう。
[12]立体図形(展開図)
方眼紙に書いた展開図を組み立てて出来る立体の体積。
直角が3つ集まる場所に注目して立体の展開図を組み立てると…おやおや?
実はこれ、H11第2日[3]の数値変え問題。
灘で過去問のリメイクは散見されるが、通常はパワーアップして出題される。ここまであからさまな数値変更のみの問題が登場するとは??
R3年灘中第1日算数は、数分野で骨のある問題があったものの、文章題分野や図形分野は例年に比べてかなり簡単、特に図形分野は灘の歴史上最も簡単だったと言ってもいいレベル。
合否ボーダー上でも満点近い争いになったと思われるが、「このレベルなら高得点を取らないと土俵にすら上がれていないぞ」という指標にはなったかもしれない。
灘中算数第2日(60分・100点)
[1]濃度算
2種類の濃さの水溶液を混ぜて指示通りの濃さにする。
面積図はもちろん比や範囲条件などを駆使しながら解く必要がある。
難問ではないが、文章題のさまざまな定石が身についているかを見るにはいい問題。
[2]規則性
規則に従って数を書いていった時の偶数の個数の考察。
なんじゃこりゃーと悩む前に「手を動かして法則性を暴き出せ」の定石に従おう。偶奇性のみ分かればOKなので、偶数を○、奇数を△とでも置いて次々に書き込んでいくと、きれいな模様が登場するはず。
ただし、大小さまざまな三角数に目が行ってしまう可能性があり、「フラクタル」であることにはやや気づきにくい可能性がある。
[3]平面図形(相似)
正六角形に線を引いて出来た図形の面積の考察。
問題を解く上で必要な力自体は、相似比と面積比の標準レベル(のみ)だが、どの相似に着目してどの比を求めるかの選択、そして計算力が求められる。
[4]場合の数
1,2,3のカードを条件に従って移動させる問題。
「123」から1回の移動のみで作れないのは「321」のみで他の4パターンは1回の移動でできることから「正八面体の頂点移動」または「立方体の面移動」の問題に帰着できればこちらのもの。
ただ、この大問は誘導が親切すぎるかも?例年であれば(4)はなく(3)→(5)の流れで問いそうな気がする。
[5]立体の切断
立方体から直方体を3個くり抜いた立体を切断する。
H3第1日[15]のリメイクとも言える問題。(2)(ア)の流れから「一辺1cmの小立方体で作った立体を切断する」と考えれば、穴の部分は四角すいB-ACFと相似な立体を組み合わせたものであることが見えてくるだろう。
近年の灘でよくある「複雑な立体は1段ずつスライスして考えよ」の流れに則った形式ではあるものの、後半の求積ではその意味があまりないまま解けてしまうので、出題者は上記とは別の解法を想定しているのかもしれない。
R3年灘第2日目は、灘特有の視点が必要な問題が複数あり、難しくはないが強靭な条件整理力が必要な問題もありで、骨のある問題が揃っている。
図形の絡まないフラクタルが登場する[2]のようなタイプの問題は、今後要注意かもしれない。
今年度の灘は、1日目をこじゃんと(おっとこれは土佐弁…「非常に」の意味)易しくして、2日目は例年並みと、難易度に緩急をつけてきた。今後もこのような傾向が続くかはわからないが、難易度の「揺さぶり」に動じることなく、ハイレベルな算数を解き切る能力を身に付けておく必要があることは間違いない。
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