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【2024/11/22 01:27 】 |
入試感想~H30灘中算数
H30(2018年)の灘中入試の算数感想を簡単に記す。

























★算数第1日
一筋縄ではいかない小問集合特集。

[1]計算
2/143=(13-11)/(11×13)=1/11-1/13などの変形に気付けば簡単。

[2]差集め算
りんごとオレンジのセットを作って箱詰めする問題。
余りが同じなので、箱の数は1セットあたりの個数の逆比となることを利用すれば面積図でファイナル・アンサー。

[3]数の性質
a×b+b×c+c×d+d×a=2400となる等式の考察。
大小条件からインド式算数風の面積図に条件整理したら解決。

[4]素因数分解
30^8の約数のうち4で割ると1余るものを考える問題。
かける数を1つずつ増やしていくと余りが周期的に変化することがポイント。
小さい数から調べればわかりやすい規則が見つかるため、今後他校の入試に波及していきそうな予感。

[5]旅人算
ターンするごとに速さが半分になっていく動点の考察。
見た目はすごくややこしそうであるが、解いてみると意外と簡単、というか今年の灘第1日算数で最も簡単かも?

[6]数の性質
4桁の整数と2桁の整数の積の考察。
あれれ、これもインド式算数風の面積図に条件整理したら約数が見つかりやすくなって解決?

[7]角度
長方形に何本か線を引いた時の角度の問題。
これ、何も考えずに「75度!」って答えて×をくらった受験生は(灘であっても)少なくないんじゃなかろうか。
合同な直角三角形がかくれんぼしている。それを見つけたら、ちょっと意外な答えの値が算出できるはずだ。

[8]場合の数
円周の12等分点のうち3点を結んでできる三角形の考察。
1つとばしに点を結んでできる辺の長さは円の半径の長さと等しいことにピンとくれば、数えるべき3パターンが見えてくる。

[9]角度(反射)
三角形の中を光がずーっと反射する問題。
反射とくれば折り返し!ではあるが、今回の三角形の形状を考えると、折り返し回数が多いとかえって難解になってしまう。
折り返す回数は1回だけ、あるいは思い切って折り返さないまま考えた方がむしろ解きやすいようだ。

[10]面積(正六角形)
正六角形の内部に取った点と頂点を結ぶ問題。
正六角形とくればいくつか分割パターンがあるものの、それをどう活用するかが問題。

[11]立体図形(切断)
直方体を3平面で切って8個に分割する問題。
前半の2平面切断は、解けなければ灘では門前払い。
後半のもう1平面追加が問題。断頭四角柱の公式なんてものはないが、断頭三角柱2個に分けることができればどうにかなる。
断頭三角柱の公式は使えて当たり前、という出題が灘でも増えてきてる気がする。

本年の灘中算数第1日は易しい。
一時期のような無茶な数分野の問題も影を潜めたため、算数が得意ならば満点近い答案作成も夢じゃない。


★算数第2日
ごつい大問が目白押し。

[1]場合の数
3種類のタイルを長方形の枠に貼り付ける問題。
(2)は(1)を利用できて、(3)も(2)の貼り合わせ方が少し参考になる。
が、(4)は「2枚のCの置き方」だけを考えることに注意しないと、かなり難解な問題と勘違いしてしまう。

[2]立体図形
立方体上の動点PQの中点Mが動く範囲の考察。
動点の軌跡は灘でたびたび登場する問題。そして動点が複数あれば片方を固定して考えるのも定石通り。
今回は、立体図形で考える分、やや解きにくかったかも知れない。

[3]論理
どの位も0でない整数を各位の和に注目して並べていく問題。
規則性と論理に関する長大な問題文は、公立高校入試の数学や、関東の某難関中入試の算数を連想してしまうが、それらと大きく異なるのは「理由を1行で書かせる」問いが複数あるという、かなり攻めた内容である点である。
ただし、会話部分の空欄を埋めるという形式であるため、自由な発想な許されず、登場人物の発想通りに考えないと正解とならない(例えば、◯の間に仕切りを入れるか入れないか、という発想は通用しない)形になってしまっているのは残念。

[4]立体図形
立方体をナナメに置いたときの影の考察。
前半は黒いブロックの配置推理というありふれた題材ではあるものの、答え方がxyz座標なのが数学チック。
後半は頂点をひもでつるした状態で床に影をつくるため、立方体の輪郭の影は正六角形となる。実はこれが黒ブロックの影を考えるときの大きなヒントとなる。
前半と後半で異なる立体の見方が問われており、小学生には解きにくそうな印象である。
なお、「真上から当てた光」が平行光線なのか点光源なのかで、一瞬戸惑ってしまった受験生がいたかもしれない。

本年の灘中算数第2日は、大問がなんと5つではなくなっている!
第2日算数が大問5つではない形式であるのは、昭和58年以来(このときは大問6つ)であるようだ。

一番の話題は何と言っても[3]の出題形式。
数学と違って算数は定義があいまいな部分もあるので、理由記述問題の採点基準が知りたいところである。
個人的には、算数の理由記述問題は、まだまだ発展途上だと思う。この形式が定着するかどうかは未知数である。
(なお、十年前後前に、土佐中と高知学芸中が算数で理由記述問題を出題したことがあるが、形式としては定着しないまま鳴りを潜めている)
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【2018/02/12 23:59 】 | 中学入試-四国外 | 有り難いご意見(0)
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