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★算数第1日
[1]逆算
左端が西暦だなーと思って計算してたら、答えが…元号だと?
出題者の遊び心が現れた問題。
[2]差集め算
男子と女子に異なる本数を配る問題。
よくあるタイプだが、買い物間違い問題だと思ったら違うので、戸惑う人は戸惑う。
[3]規則性
ある決まりに従って数が並ぶ問題。
ややパズルっぽい群数列で、分数が約分された形になっているのが少しいやらしい。
約分という変化球さえなければ、高知県内の入試に登場してもおかしくないレベル。
[4]濃度算
2つの砂糖水に砂糖を入れたときの濃度の問題。
ポイントはズバリ「砂糖を入れても水一定」であるが、そこに着目できたとしても、相当算的処理に持ち込む発想が出てこないと手が止まる。
[5]流水算
流れていくボールをボートが追いかける問題。
この問題の肝はなんといっても、上流と下流のこいだ時間差の条件をどう処理するか。
有名問題であるH5愛光の「ボートと浮き輪の出会い追い越し」でも登場する興味深い法則が、この問題では巧妙に隠されている。
[6]論理
3けたの整数を3/4倍してできる整数の考察。
ここ数年、灘中のこの位置にある論理問題はかなりヘヴィな問題であることが多く、受験生や塾講師陣の頭を悩ませてきたが、今年はうまく条件整理すればさくっと解ける。
さまざまな倍数判定法を駆使していけば、計算量はかなり減らせる。
[7]場合の数
カレンダーの数を足して81にする方法の考察。
問い方より、1と2は具体例を1つでも見つけて正解せねばならない。
3は、例えば架空の「0日」「33日」を付け加えれば、比較的単純な積の法則で解けるが、ひと工夫しないと正解できないだろう。
[8]場合の数
縦横斜めに最短で進む場合の数。
余分な線を消していけば、結局格子の道順問題となり、コンビネーションの式1つで答えを出すことも可能。
[9]面積比
辺の長さの比から三角形の面積比を求める問題。
風車問題のようでちょっと違う、ベンツ切りのようでちょっと違う。
典型的な形に持って行くには、補助線が必須。
[10]立体図形(切断)
正四角すいを平面で1回切断する問題。
これに関しては、男子難関中を受験する受験生は絶対に練習しているはずだから、正解必須。
(しかしそもそも、このレベルの問題を基本的と言わせてしまうここの学校がすさまじいレベルなわけだが)
[11]立体図形(展開図)
正三角形と直角二等辺と台形からなる展開図。
あー、これは直方体から三角すいを2つ引いた形の典型的問題だよ!
…と思ったら大間違い!私もまんまとだまされてしまったorz
スピードも問われる第1日算数ということもあり、検証する疑いもなく引っかかった受験生が続出したと予測。
[12]図形の移動
円のワクが直角二等辺の外側を移動する問題。
第1日算数は小問集合らしからぬ威圧感のある長文・ごつい図の設問が登場することもあるが、今回はその最たるもので、正直第2日に出そうとしたがあぶれてしまった問題ではないか?と疑いたくなる。
移動系問題なので当然ながらまずは作図することになるが、これが手間がかかり簡単ではない。「ワク」を動かすことにも注意せねばならない。
作図さえできれば、図形の弧の半径に気をつけて分割すれば、面積を求めることはそれほど難しくない。
今年の灘中1日目は、ここ数年処理力重視で、発想力が必要な問題は相当な難問である傾向があったが、本年は数分野を含めて超難問はなく、作業量もここ数年と比較すれば控えめで、ちょっとした(無理のない程度の)発想があれば一気に解決する問題がたくさんあり、「これぞ灘の算数!」という理想形の素晴らしい内容であった。
灘中の算数入試は昭和末期のものから30年分強に目を通しているが、セット全体のバランスやスマートさは本年が最高レベルではないかと思う。
あまりに問題セットができすぎていて、是非来年以降もこのクオリティで…と言ってしまうと酷か?
★算数第2日
[1]平面図形
細長い紙を結んで正五角形を作って切る問題。
関東では割と見かける気がする正五角形結びの問題が、ついに灘に登場。
後半の切り口では、右端の線が他の線とは完全に分断されてしまうので、やや不安になる。そういう意味では、(1)がとても親切。
[2]速さ
2人が歩き・ジョギング・走りの3種類の速さを取り混ぜて進む。
(1)はダイヤグラムを描いて相似を使えばあっさり解決するけど、(2)はどうなんだろう…
(2)は連立方程式を使えば中2の練習問題レベルなので、珍しく中学数学で解いた方が有利な問題?
[3]立体図形(切断)
直方体を斜めに切断してできる立体と切り口の考察。
これははっきりいって(灘としては)典型題で、正解必須であろう。
[4]平面図形
三角形・正方形・台形を組み合わせた図形の面積を求める問題。
見た目は巨大な図であるが、よく見かける図形がもとになっているとわかれば、解く気力が芽生える。
角度の和が180度から発想する回転移動、直角三角形と正方形を組み合わせて正方形を作る発想、など、難関校の算数に立ち向かうために必須のエッセンスが散りばめられている良問
…と書こうとしたら、とある方から「長方形にはめこめばほぼ暗算だよ」と教えてもらい、二度感動…!
[5]場合の数
条件に従って4枚のカードを入れ替える問題。
混乱せずに置換の操作方法を把握できれば(1)アが解け、1回操作するとカードがどの位置に移動するか条件整理すれば(1)イが解け、そこでおやっと思える点に気付けば出題者の意図をくみ取って(1)ウが解け、…
算数出題陣による、無理のない程度の意図された誘導に乗れるかどうかがポイント。
それでもこれを時間内に解くのはちと厳しい気がする。(灘レベルの受験生になると「本当に(1)ウの言ってるように3通りだけか?」と考察したくなるかもしれないし)
なお、灘中の場合の数の難問は「道順」「剰余」「置換」のいずれかがテーマになっていることが多い気がする。
今年の灘中2日目は、[1][3]を除けばいずれも重たく(逆を言えば[1][3]ができなければ門前払いか)、残りの大問をどこまで食らいつけるか、という勝負だったと思われる。
例年より平均点は少し低く差はつきにくい内容だったと思われる…と書こうとしたが、灘発表の資料によれば、前者は当たっていたが、後者は違っていたらしい。
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