全国の中学入試ファンと算数少年の注目の的、灘中。
令和6年度(2024年度)も解いてみたよ。 こ の 先 ネ タ バ レ O K ? 第1日算数…満点:100点 第1日はいつものように重量級小問集合で答えのみの採点。 [1]逆算 いかにも2024に関連ありそうな見た目をしているが、実は無関係。 ただし答えの値は2024のアナグラムになっている。 [2]差集め算 所持金で2種類のペンを買う問題。 高知県の中学入試としても標準的レベル。 [3]集合算+相当算 3つの町に行ったことがあるかの調査結果を割合で。 3種類の重なりなのでベン図を使って解くことになる。 高知県内で言えばH20学芸第2日[3]にそっくりで、高知県内のやや難レベル程度。 [4]旅人算 一定間隔で走るバスと何分ごとにすれ違ったり追い越されたりするか。 いわゆる定期便問題で、距離一定に注目した逆比の形に持って行くのが定石。 技術さえ身についていれば難しくはなく、愛光1枚目レベルといったところ。 [5]場合の数 4枚のカードを並べてできる11の倍数。 11の倍数判定法を使うことになるが、「各位の数の和」の差が0になるものしかないので、易しい。 [6]推理(覆面算) ABCD-DCBA=EFGHを満たす式を求める。 いくつか試しているうちに、千の位と一の位の和、百の位と十の位の和がそれぞれ一定であることから、8の位置が絞られて…という感じになるだろうか。 手がかりの少ない問題なので、正解率は低そうである。すぐに答えが見つからなければ後回しが吉。(この手のパズル問題は解くのに夢中になって時間を食いやすい) この問題の背後には「カプレカー定数」が隠れているが、灘中受験生であってもそこまでチェックしているのは少数だろう。 算チャレ第143回では類題が、算チャレVer3第314回では3桁のバージョンが掲載されているので、興味のある方は参照されたい。 [7]理科? スイッチがたくさんある回路で豆電球を点灯させる方法。 これの簡単バージョンは理科の入試問題で散見されるが、ここまでスイッチが多いと難解である。 下2つのスイッチのON/OFFで場合分けすることになりそうだが、実際の入試では後回しにするのが正解だろう。 [8]平面図形 2つの三角形の共通部分の考察。 いかにも複雑そうに条件が書いてあるが、要は「合同に見える三角形は実際に合同」であることを示せば、あとは面積比や相似比であっけなく解決。 [9]平面図形(転がし移動) 「正方形の辺の通過部分」と「半円の共通部分」の和。 見慣れない設定だが、とにかく転がし移動の作図をして、半円の共通部分の一部と同じ形があることに気付けるかどうかがポイント。 確実な作図力とちょっとした思考力で差のつく問題だったと思われる。 [10]平面図形(角度) 正五角形と2個の正方形を並べたときの角度。 見た目はよくありそうな問題だが、これがなかなかの曲者。 いわゆる「算チャレ的回転」が必要な問題で、昨年の1日目[10]ほどではないにせよ、真面目に解くならかなり難解といえるだろう。 [11]立体図形(切断) 3点を通る平面で直方体を切断してできる2つの立体の体積比。 見た目はシンプルだが灘のことだからどーせ作図がめんどかったり体積比を求めるのがむずかったりするんd…本当にテキストレベルだった! というわけで、ここでは差がつかなかっただろう。 [12]立体図形(展開図) 正六角形の面などを含む展開図を組み立ててできる立体の体積。 ぶっちゃけ、まったく同じ問題に取り組んだ受験生も少なくないのでは?(私も意欲的なクラスにはまったく同じ問題を解かせてた) というわけで、ここでは差がつかなかっただろう。 本年の灘中第1日は難易のメリハリがつきすぎており、差のつく問題は少ない印象。 解ける問題を確実に正解して、捨てる問題は無難に捨てる、の戦略勝負になったのではないだろうか。 第2日算数…満点:100点 第2日もいつものように途中式も必要な大問のみからなる。 [1]場合の数 各位の数の積を求める作業を繰り返す問題。 (1)は整数全体から「1~9のみ使用する整数」を引けば瞬殺。 (2)は数字の組み合わせを考えてから並べ換える戦略が早いが、すべての組み合わせをもれなく挙げる作業が、冒頭の大問としては厄介。 [2]割合 2箇所の工場で作られる製品の不良品の考察。 (1)はただの計算問題。 (2)は濃度算の面積図or天秤図の要領で考えればOK。 [3]立体図形(切断) 立体内部にできた三角形を底面とみたときの高さ。 いわゆる「正方形から切り取れる面をもつ三角錐」をテーマにした問題で、(2)の切断面を延長すると(1)の三角形が登場して(ア)(イ)は解決。 (ウ)は、立方体より下側にあるMを含む三角錐で考えるか、面GKMIでさらに切断するか、という方針となり、ひと工夫できたかどうかで差がつきそうである。 なお、「正方形から切り取れる面をもつ三角錐」をテーマにした応用問題を、算数限界編107で出題しているが、灘のこの大問の方がずっと簡単である。 [4]平面図形 正方形の内部に半円と円を描いた図形の考察。 (1)は図が不正確なので自分で作図し直せばポイントとなる合同を見つけられるはず。 そして(2)に引かれた意味深な破線が(1)の直角二等辺につながるわけだが…うーむ、これに関しては(1)の布石が強引すぎる気がする。破線が直角二等辺であるのを示すのがなかなか大変だし。(この大問のみ考え方を書く問いがないのは、そのせいかもしれない) 「直角三角形に内接する半円」が相似比に直結することに気付けばあっという間に解決するのは面白いと思うんだけど…。 問題には直接関係ない話だが、この大問(3枚目)にある長方形ABCDの図と、2枚目にある[3]の正方形ABCDの図はピッタリ重なり、アルファベットA~Dの位置もほぼピッタリ重なる。…さては出題者、コピペしたな?( [5]場合の数 的当てゲームで2人とも得点が10になる9つの数の並び方。 いわゆる「ストラックアウト」を題材にした問題だが、(1)の場合分けが意外と大変。(Eの点で場合分けしたが、もっと処理量を減らす方法があるのかもしれん…) そんな感じだから(2)で更なる場合分けが必要そうで戦々恐々だが、調べていくと実は(1)の考え方がふんだんに利用でき、考えようによっては式1つで解決可能で、いい意味で(2)は見掛け倒し。 本年の灘中第2日は、一見無関係そうな(1)と(2)のつながりを把握しなければ先に進めない大問が[3][4]と2題もあった。出題者の意図を読み取れなければならない大問に慣れておく必要があるかもしれない。 また、[3]の「正方形から切り取れる面をもつ三角錐」をテーマにした問題は、より深いものまで研究しておくべきかもしれない。 PR |
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