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H31(2019年)の灘中入試の算数感想を記してみたよ。
こ の 先 ネ タ バ レ O K ? ★第1日算数…100点満点・60分 [1]逆算 特に工夫の余地はないが、数値が西暦と元号を織り交ぜたものになっており、遊び心あふれてる。 [2]論理 1けたの整数を使って既約分数の等式を成立させる。 理詰めで解くよりも、手早く調べていった方が早そう。 [3]論理 繰り上がりが1箇所だけの3桁の足し算を考察する問題。 繰り上がりがない条件より、B+E+C+F=G+Hであることに気付くことができれば、調べ上げを大幅カットできる。 後半は「A>D」の条件を読み飛ばさないように! [4]数の性質 377の6乗の約数を14で割ったり15で割った余りを考える。 H30灘中第1日[4]で出題された、倍数の余りの問題を発展させた形。 [5]売買算 売り上げと利益の条件から仕入れ値と品物の個数を求める問題。 2種類の売価で売った品物の個数の比の範囲がわかっているので、ここから個数を絞っていくことになるだろう。 第1日で計算問題を除けば唯一(?)一般的な中学入試で見かけるかもしれないタイプの問題である。(裏を返せば、本年の灘算数第1日は…) [6]倍数 89と113の倍数を小さい方から順に並べていく問題。 …と書くと、ごく普通の問題に見えるが、最小公倍数が大きいので、定石通りの解き方ができない! そこで、何らかの目安をつけて解くことになるだろうか…例えば、どちらにも800にかなり近い倍数があるから、それを目安にするなど。 [7]速さ 出会ったら時速を1kmだけ落として引き返す2人の問題。 これ、中学入試算数の歴史に残りうる超難問なのでは…。 この問題が時間内で算数的にきっちり解けた受験生は、それだけで灘に余裕で合格する力があるのではないか、というくらい難解。 [8]面積 円の中にある2つの弓形の面積の和を求める。 弓形に目がいきがちであるが、直角三角形を2つ付け加えると、実はH16灘中第1日[13]のリメイクであることがわかる。 [9]面積比 正三角形の内部に角APB=120度となる点を取る問題。 図はシンプルであるが、シンプルであるがゆえに、取っ掛かりが見えにくい問題かもしれない。 しかし実は、「正三角形を風車型に分割して中心に小正三角形を作る」という、超ありふれた問題がもとになっている。 [10]立体図形(切断) 大きな正四面体を正四面体と正八面体に分割する問題。 これだけだと、かつてピカピカ算数の限界編問51[参考リンク]に出した問題と同じであるが、ここではさらに色が塗られた面の数を考察するので、切断の様子がわかってもなお緻密な作業を必要とする。 ただし、この手の問題で最も見落としがちな「逆さ向きの正四面体」をスルーしても正解は出せるので、ある意味では親切な設定と言える? [11]立体図形(展開図) 直角二等辺と正三角形をもとにした展開図を山折り谷折りにする。 この「山折り・谷折り」の設定が実に意地悪で、足したり引いたりする立体の形や個数の間違いを誘発しやすくなっている。 過去にピカピカ算数の限界編問20[参考リンク]にて、展開図の山折り谷折りの引っかけ問題を出したことがあるが、その出題者が今回の灘の解答でミスったので、引っかかった人は一定数いるはずorz [12]立体図形(切断) 正六角すいを切断する問題。 いつかはこの手の切断が灘でくると思っていたが、ついに来たかー、といった感じ。 H15灘中第1日[15]などで登場した正四角すいの切断の発展版であり、図形の見方自体はそれと大差ないので、灘対策で取り組んだことのある受験生は少なくないのでは? なお、似たような設定の問題をピカピカ算数の限界編問32[参考リンク]で出題しているし、H14徳島文理中[8](2)イでは、切断の形までまったく同じ(通ると指定された頂点は若干異なるが)問題が出題されている。 本年の第1日の問題は、超難問といえるのは[7]だけであるものの、それ以外の多くの問題も難問には分類されるだろう。 これでもかと用意された力作揃いであり(私が持っている灘第1日過去問では最難)、灘中受験生で算数に長けていても、相当に手こずったと思われる。 私が問題(第1日算数)を解いているとき、まるで算数オリンピックの予選問題を解いているような印象を受けた。 制限時間が(算オリ予選と同じ長さ)あと30分長ければ、適正な入試として機能したのではないだろうか…? ★第2日算数…100点満点・60分 [1]数の性質 4桁の整数の数字を入れ替えても7の倍数となる個数を求める。 与えられた2つのヒントをもとに考える形式で、枝問がない。 前半のヒントで十の位と一の位の数の差を見極め、後半のヒントで1001の倍数との比較を読み取ることがポイントだろうか。 第2日で枝問のない大問が出たのは、恐らくS61[1]以来である。(ただその大問も、小問が集まったものと解釈できなくもないが) [2]規則性 倍数の条件に従って、カードを並べ変えていく問題。 前から考えるか後ろから考えるか、小問によって戦略の使い分けが必要である。 いずれにせよ、緻密な作業が必要になってくるのは間違いない。 [3]立体図形(影) 板や石像に光を当てたときの影を考える問題。 物体に斜めから光を当てる影の問題は、灘をはじめ難関男子校で超頻出のため、対策をしてきた受験生が多いのではないだろうか。 第2日で唯一(?)完全制覇を安心して狙える大問であろう。(裏を返せば、本年の灘算数第2日は…) [4]平面図形 周長も面積も整数値aで表せる長方形の考察。 (1)の導入がやや唐突で数学っぽい流れだが、灘中受験生なら理解できる範囲か。導入の意図がわかれば「共有」を使って解決へと向かっていく。 (2)(3)では、(1)の考え方を自分なりにアレンジして使えるかどうかが勝負どころ。 もしかしてこの問題は、2018年に話題になった「周長と面積が一致する三角形の組を探す問題」のオマージュ? [5]立体図形 立方体内を動く2つの小立方体が通過する共通部分の考察。 「共通部分の立体の切り口」を考えるために「立体の切り口の共通部分」を考える(六角形と六角形の重なりとなる)のが前半部分の解決のポイントか。 下から9cmの高さの共通部分が与えられているから、これが作図する上で大きなヒントとなる。 ピカピカ算数の限界編問45[参考リンク]でこれの発展版を出題したことがあるが、さすがに超超難問であるm(__)m 本年の第2日の問題は、こちらもなかなか重たい大問が揃っていた。 昨年は大問が4つであったが、今年は大問5つのいつも通りの形式にもどった。 第2日に文章題分野からの出題が1つもなかったのが目を引く。 そして、ますます「出題者の意図通りに考えられますか?」というタイプの問題が増えてきている。図形問題を中心として、それを見抜く訓練は必須であろう。 本年の灘中算数は全体的に見て、史上稀に見るハイレベルな問題の総出演であり、例年のレベルの問題であれば解く力のある受験生でも、点数を伸ばしきれなかったのではないだろうか。 また、本年は過去問のリメイク強化版だったり、ネット上の算数サイトの類題が複数登場している。 次年度以降もこのレベルの難問ぞろいになるとは思わないが、灘中受験生は既存の最難関受験本や授業だけにとらわれない演習が必要である。 PR |
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