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【2024/11/24 00:48 】 |
入試感想~H28灘中算数
H28(2016年)の灘中入試の算数感想を簡単に。






















★算数第1日…100点(試験時間60分?)
部分点なしの答えのみ採点の小問集合。

[1]逆算
 分数計算だが、工夫して計算すると「2016」が登場する。
[2]立体図形(水入れ)
 水槽に入れた直方体を取り除いた時の水深変化。
 高知県の入試にも出てきそうな極めて典型的レベル。
[3]推理
 カードを入れ替えたり捨てたりする問題。
 そのルールはとても複雑であるが、分かれば「なーんだ」となり、ルールさえ分ければ小学校低学年でも解ける。
 しかし時間との戦いの中、そのルールを把握する余裕はあるか?
[4]速さ
 A君とB君が池を周回する問題。
 これだけ書けばごく典型的問題に見えるが、しかしそこはさすが灘で、B君の進み方がとても特殊。
 どうなれば「A6周B4周」という条件を満たせるのかを考えるのがカギであるが、答えが範囲で答えるようになっている点がややプレッシャーか。
[5]倍数/周期算
 2・3・5でも割り切れない整数に「7」を絡めた問題。
 一瞬、H21灘中のナベアツ問題を連想するが、完全なる別設定である。
 4つの事象を考えるのでベン図で考えるのは困難で、周期性に着目することになるだろう。
 前半は、1段を6or10ずつ区切れば解決。
 後半は単純にはいかないようだ。6で割った余りで分類した上で1の位が5のものを取り除くなど、前半とは少し違った戦略が求められる。
[6]数の性質
 7ばかりの整数の掛け算の結果を考察する問題。
 うーん、なるべく繰り上がりが出てこないように式変形して地道にやるしかなさそうだけど…?
 灘中と言えば、一時期は図形のオリジナル難問が登場していたが、現在は数や論理系のオリジナル難問にシフトしてきた感がある、。。
[7]角度
 合わせ鏡で光が何度も反射する時の角度を考察する。
 設定自体はありがちで、解法はもちろん一直線にする一手であるが、ここでもやはり範囲で答える問題となっている。
 問題文の意図から二等辺三角形に気付けたとしても、なおミスを誘うものとなっている。
[8]面積
 正六角形内部の三角形の面積を求める問題。
 設定自体は何の変哲もないものだが、答えを求めるのに手間がかかる。楽に求める方法を模索するより地道に行った方がいいようだ。
[9]転がし移動
 直角三角形を転がしたときの辺の通過範囲を考える。
 転がし移動の作図の基本はもちろん、30度定規や等積移動、そして後半の穴のワナなど、図形の見方をフルに活用しないと正解できない。
 決して易しくはないものの、中学入試の図形エッセンスがこれでもかと詰め込まれた良問だと思う。
[10]平面図形(相似)
 三角形の辺の長さと面積比について考察する問題。
 今年のひらめき重視平面図形枠であり、難しい部類に入ると思う。
 当然ながら、隣り合わない線分比AB:CF=3:2の条件をどう活用するかがカギとなる。BD:DC=3:2から、相似が作れるような補助線を引けたかどうか。
 ただし、図形の形は1通りに定まらないので、左上の三角形が直角二等辺と決めつけても一応正解は出るようだ(むしろ実際の入試ではその方針での正解者が多い?)
[11]立体図形(切断)
 立方体内の四角錐を切断する問題。
 四角錐の底面積は算数の範囲では出ないので、三角錐2つに分割したほうが体積を求めやすいだろう。
 そうすれば切断が追加される後半も方針が立ちやすいが、必要な長さあるいは線分比を求めるまでにやや時間がかかる。
 小学生にしては高度な立体把握力が必要で、いわゆる『算チャレ』に登場してもおかしくないレベルの問題。

今年の灘中1日目は、方針は立つものの手数のかかる問題やミスを誘う問題が非常に多く、図形を中心に難問率が上がっており、全体的に解きにくい印象を持った。
(実際、平均点は50点を大きく下回り、H21以来久しぶりに第1日算数で満点が出なかった)

★算数第2日…100点(試験時間60分)
第1日とは真逆で、原則として式や考え方も書き残す必要がある。
ただし、今年は「答えのみでよい」形式の問題が多かった。

[1]規則性
 1~2016のカードで「捨てる→右端に移動」を繰り返す。
 いわゆる「継子立て」問題で、かつてH13第1日灘中でも類題が出ている。
 それを知っていればまず(5)から答えが出る。
 (1)~(4)あたりは、第1日[1]でも出た、2016の素因数分解が少し役立つが…うーん、正直言って(1)~(4)の流れはちょっとくどいかもしれない…orz
[2]立体図形(水入れ)
 仕切りのある水槽に水を入れる問題。
 水深変化グラフが4つも用意されており、いかにもごつそうな雰囲気が漂っているが、第2日の大問の中で最も簡単である。
 これはほっと一息つける問題であり、ここを落としていては他に取れるところがないぞ。
[3]立体図形(影)
 板を置いた箱で光が当たる領域を考察する問題。
 電球の位置が小問ごとにいやらしい位置になっていき、図形の見方も大変になっていく。
 (3)は格段に複雑になるので、(2)までは取りたい。
[4]数の性質(倍数・素因数分解)
 123456789の桁を1組だけ入れ替えてできる整数の考察。
 本文だけではまったく要領を得ないので、実験してみないことには始まらない。
 (1)は下3桁が変わらない条件、(2)は入れ替える数の間に挟まっている数の個数に着目することを発見できたかどうか。
 そして(3)を解くために、(1)や(2)で隠されたポイントを活用することになる。
 解いてみれば、思ったほど難しい問題ではないが、本文に出てくる桁数の大きさから、着手には勇気がいる。
[5]立体図形
 ブロックを貼り合わせた立体を包む最小の図形の考察。
 非常に表現しにくいが、ブロックを貼り合わせた凹みのある立体にラップをたるみなく貼りつける、とでも表現すればわかっていただけるだろうか?
 いつだか忘れたが、ちょっと昔の高校入試にこれと同じ設定(ブロックを貼り合わせた立体自体はもっとわかりやすいものだったが)の問題を見た気がするので、もしやそれが元ネタ?
 あまり見慣れない設定自体の理解はもちろん、立体の体積を求めるのも(1)から結構大変である。
 (2)は(1)の向きを変えてブロックを1個追加したことに気付けたとしても、なお大変である。
 やはり、『算チャレ』に登場してもおかしくない(しかもそこそこの難問と評価されうる)問題である。

灘中2日目は、ここ数年で最も解きにくい印象を持った。
昨年に続き、大問5つのうち3つが図形であったが、しかも今年はそのすべてが立体図形であり、そのうち2つの小問に難問を含んでいた。
H23以来久しぶりに第2日算数で満点が出なかったのもその影響か?


今年は特に立体図形の難化が目立ち、立体図形が得意な灘受験生でも相当にてこずったのではないかと予想する。
1日目は処理力と問題取捨選択の勝負、2日目は誘導の意図を見抜き簡潔に答えにアプローチできる能力が必要であり、生半可な練習では太刀打ちできない学校である。
(なお、算数第1日第2日の両方とも満点が出なかったのは、H14以来のことである。)
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【2016/01/20 12:26 】 | 中学入試-四国外 | 有り難いご意見(0)
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