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【2024/11/22 05:54 】 |
入試感想&この一題~土佐・H24
いよいよ真打ち。
H24(2012年)土佐中理系科目の感想。










 

★算数A
[1]小問集合
 ごく基本的な問題からかなりの難問まで混ざっているのが恒例なので、すぐには解けないと悟ったら後回しにする勇気も必要。
 AもBもたった45分の制限時間、1問で悩むと時間切れになりかねない。
(1)計算
 特にひねりのない計算問題。工夫もできないことはないけど。
(2)仕事算+周期算
 一定の規則で2人が働いて仕事が終わる日数を求める。
 文章題のミックスは土佐中の十八番。ここは難しくないので、正解必須。
(3)角度
 長さの等しい辺がたくさんある三角形の角度を求める。
 二等辺三角形がたくさんあるから、一番小さい角度をマル1とすればあっさりと…なんて考えていると失敗する。
 わかる角度をいくつか書き込んでみないと、意外とハマってしまう可能性を孕んでいる。
(4)平均算
 採点ミス前後で求めた平均点の概数から、正しい合計点数を求める。
 少し面倒な問題だが、手堅く正解したい問題である。
(5)面積
 いくつかの半円を組み合わせた図形の周の長さと面積を求める。
 下半分をひっくり返せば、円が3個組み合わさった単純な形になるが、そんな工夫をしなくても解答は可能である。

[2]旅人算
 学校のまわりを反対方向に何周もする2人についての問題。
 (2)は「Aがちょうど10周したとき22回目に出会う」の本質を見抜けば、たいぶ楽に答えが出せる。
 というか、Aの速さが与えられてるんだから、(2)は「Bがちょうど12周したとき…」とした方が、もっと本質を生かせる問題になったと思うんやけど…そうしなかったのは出題者の優しさ?

[3]数の性質+周期算
 2種類の長方形の紙を規則的に並べて正方形を作る問題。
 縦方向は単純な最小公倍数だが、横方向はA→B→A→B→…と交互に並べるため、どちらが右端にくるかで場合分けが必要。
 このレベルの問題をノーヒントできちんと処理できる受験生が、土佐に受かっていくんだろうなあ。

[4]立体図形(サイコロ)
 サイコロを条件に従って「土」型にくっつけたときの目を考える。
 土佐では毎年のように、立方体や直方体を使った複雑な問題を出してくるが、今年のもなかなかややこしい。
 面と面がくっついている部分の目を丁寧に調べ上げて…うーん、うまいやり方はなさそう。。
 解ききりたいレベルではあるが、作業量は多めでプレッシャーがかかりそう。


★算数B
[1]小問集合
 Aと同様、やはり様々なレベルの問題が入り混じっている。
 今年のB問題はその差が特に激しい。
(1)逆算
 ひねりのない逆算なので、間違えたら恥ずかしい。
(2)濃度算
 水一定タイプなので、濃度10%→水の割合90%の言い換えがすべて。
 典型題だが、割合の意味を理解しきれていない受験生は、ここで点を落としてしまったのではないだろうか?
(3)平均算
 3種類のお菓子を買うときの平均についての問題。
 2種類だろうが3種類だろうが、面積図を書いて解くことには変わりない。
(4)通過算(旅人算タイプ)
 3種類の列車のすれ違いと追い越しに関する考察。
 具体的な値が長さも速さも与えられてないので比を仮定して解くことになる。
 それさえできれば難しくはないが、これも比の意味を理解しきれていなければ、解くことはできない。
(5)面積(等積変形)
 長方形とその内部の三角形の面積から指定された長さを求める。
 これが解けそうで解けない。下手に取り組むと時間だけが過ぎていくという、恐ろしい問題。
 少し図形が得意な受験生は「条件不足では?」と判断して後回しにしたかも。あの条件だけで答えは求まるが、後回しという判断自体は正解である。
 実はこれ、H13(2001年)渋谷教育学園渋谷中に出た問題と同じ設定。

[2]条件整理
 条件を満たす値になる2枚のカードの取り出し方をすべて求める。
 1回目のカードの数をx、2回のカードの数の積をyとしたとき、x+yの値を考えるという、ちょっと変わった設定である。
 要するに、1回目の数を○、2回目の数を△とすれば、x+yは○+○×△=○×(1+△)となることに気付けばよい。
 国語力が必要なややこしい問題だけど、いざ取り組んでみれば意外と簡単に解ける点が土佐らしい。

[3]数の性質
 整数の各位の和を求める作業を、1ケタになるまで続ける問題。
 これは結局「9で割った余りを求める(ただし割り切れる場合は9となる)」作業である。それを見抜けば(2)最後が5になる4ケタの整数はすぐ解ける。
 もっとも、それに気付けなくても、いくつかの整数で試していれば、1004,1013,1022,…で等差数列として答えを求めた受験生も多いだろう。
 (1)の空欄補充は本質を見抜かせるためのヒントだが、誘導がやや数学っぽいため、少なくとも受験生にとってはわかりにくかったのかも^^;
 なお、H22(2010年)早稲田佐賀中にも同じ内容の問題が出されている。
 (実はさらにその元ネタであろう題材がある。機会があればいずれ紹介)

[4]立体図形
 立方体内部に△ABPの面積が2cm2になるような点Pをとる問題。
 教える側から見れば面白い問題だが、受験生の正解率は低いだろう。
 ちなみに、H16(2004年)灘中第2日の劣化バージョンといったところ。
 ところで、いくつかのサイトが公表している「土佐中の出題の要点」を見る限りでは、出題範囲外の内容であるような気がするけど…?

土佐中算数は「AとBで難易度などの違いはない」と公言されているものの、今年はそうではない印象を受けた。
 A:典型題に1ひねり加えた従来の土佐らしい出題が多い。難易度易しめ
 B:県外中の入試から拝借したと思われる問題が多い。難易度は高め
年々問題のオリジナリティが薄れつつあるように見えるのが気がかりだ。
昨年は易し過ぎて差がつかず、算数で点を稼ぐ受験生にはかなり不利だったが、今年はきちんと算数で差がつくセットだった。


★理科
[1]てこ(モビール)
 モビールの典型題が2つ。
 後半の図の棒の長さに少し注意するくらいで、昨年のてこよりずっと簡単。全問正解で切り抜けるべきだろう。

[2]電流
 5つの図を見て、条件を満たす豆電球をすべて挙げる。
 複雑な回路もあるが、落ちついて電流の値を求めたい。3問とも「すべて選ぶ」問題だったので、差がついたと思われる。

[3]気体の性質
 空気に含まれる4種類の気体A~Dの正体と性質についての問題。
 アルゴン登場にはちょっとびっくりだが、問題を解く上では関係なし。
 それにしても、この大問は県内上位3校の受験生であれば間違えようがないくらい簡単。
 「石灰水は『気体A、C、Dでは変化しなかったが』気体Bではどうなるか」「青色リトマス紙が何色に『変化するか』」などなど、設問が親切過ぎるかな…。
 ひと昔前の学芸みたいに、機械的に答える受験生を引っかけるために「実は変化なしでっせ」が答えでもよかったのでは?

[4]水溶液と金属+中和
 水素発生と中和を融合させた計算問題。
 水溶液の計算応用問題として超有名だが、昨年は水溶液関連の問題が出ていなかったので、多くの受験生が対策済だったのでは?(私も「この手の計算はきっと出る」ということで直前演習させた)
 近年の土佐中の化学計算の応用は、難問というより計算量の膨大さにうんざりするものが多かったが、今年は純粋に作業の仕方で差のつく問題である。

[5]生物総合
 Aは、イネの花のつくりに関する問題。
 (1)イネの受粉に関する問題は、文章がちょっとわかりにくいので、慎重に。
 (3)イネの実を食べる生物を2つ選ぶ問題は、スズメは楽勝、あと1つが選びにくい。消去法で何とか正解したい。
 (4)お米と同じ部分(=胚乳)をおもに食料にする植物を選ぶ問題は、過去に出題例があるが、細かい知識なので誤答が意外に多そう。
 Bは、いわゆる標本調査の考察。
 米粒350個のうち50個に印をつけてよく混ぜたとき、印をつけた米粒を10個得るには平均して何個取り出せばよいか、という問題。
 10行以上の長文にめげそうになるが、要するに「350:50=□:10のような比例式を立てる」ことに行き着けばOKで、そうすればメダカの数も無事求まる。
 H11(1999年)の土佐理科に、これとはちょっと異なる(メダカとグッピーの匹数比を推理する)ものの、標本調査の問題が出題されていたので、それを解いていれば少し有利だったかも。
 Cは、メダカの飼い方に関する知識を問う。
 これはまあ簡単やね。(8)は図や問題文にヒントがなくても、メダカのヒレの枚数は答えられるだろう。
 せっかく「ヒレが足に進化」なんてくだりがあるんだから、どのヒレが前足後足に進化したかを答えさせても良かったのでは?なんか勿体ない問題。

…今年は地学分野の大問が1つもない!
理科の4分野(物理・化学・生物・地学)の中で出やすい単元・出にくい単元があることに関しては、受験生にとっては対策が立てられて有り難いことだし、分野によって問題数や配点にある程度の偏りがあるのも問題ない。
しかし、特定の分野が全く出題されないというのはいかがなものかなあ…。
地学がテーマの大問が出題されなかったことは今回が初めてではなく、H10(1998年)以降に今回を含めて5回以上もある…。
(手持ちの大手教材にならって、水の循環は化学分野、環境問題は生物分野とカウントした)
近年は4分野ともバランスよく出題されていたと思っていただけに、残念だ。


★この一題
ひとまず、算数Bから2題。(なお、円周率は3.14とする)

・B[1](5)
tosa-2012B-1-5.PNG
上の図で、長方形ABCDの面積は302cm2、三角形AEFの面積は137cm2です。DFの長さは□cmです。
解説記事

・B[4] ※図省略
一辺2cmの立方体ABCD-EFGHがあります。点Pはこの立方体の中や面の上を、三角形ABPの面積がいつも2cm2になるように動きます。点Pが動くことのできる部分の面積は何cm2ですか。
解説記事
 

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【2012/03/08 14:28 】 | 中学入試-四国内 | 有り難いご意見(0)
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