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  • 2024.05
入試感想~R4灘中算数
R4(2022年)の灘中入試算数にチャレンジしてみた。
























・第1日算数…満点:100点

第1日は小問集合でいつものように答えのみの採点。

[1]逆算
今年度は、特別な工夫をしなくても普通の手法でも求めることが可能。

[2]仕事算
周期的に休む兄と働き続ける弟の仕事の問題。
定石通り、兄と弟の仕事量の比を求めればOK。

[3]食塩水
正体不明の食塩水に、別の食塩水と食塩を加えていく。
条件がたくさん判明している後ろから考えればよい。

[4]数の性質(剰余)
2の2022乗を17で割った余りを求める。
累乗した数の余りを求める問題は、灘中学で近年よく出題されている。
前半の誘導から「2の8乗を17で割った余りは1」を導き出すのが肝か。
算数としては決して簡単ではないが、灘中受験生であれば頻出問題として多くが対策済みであろう。

[5]場合の数
A×B+A×C+A×D+B×C×Dが偶数になるようなABCDの組み合わせ。
A×(B+C+D)+B×C×Dと変形すれば、あとは偶奇性を考えれば解ける。
場合分けを伴う場合の数、難関校入試としてありがちな問題ではある。

[6]推理
複雑な分数式の等式を満たすアイウエの組を見つける。
ここは見慣れない問題で、[1]~[5]を鼻歌交じりで解いていた受験生のほとんどは、ここで手が止まるだろう。
まずは通分して、分子の下2けたに注目して可能性を絞ることになるだろうか。
解くのに時間がかかるので、後回しにするが吉。

[7]場合の数
2種類のタイルを縦20cmの枠の中にはりつける方法。
これはなかなかミスを誘う問題で、解けたと思っても実は不正解、というパターンが多いのではないだろうか。
実はこの問いの後半が、私が今年の灘中算数で最もはまってしまった問題である…。

[8]平面図形(面積比)
三角形の内部に三角形を描きさらに線を引いた図形の面積。
前半はどう見てベンツ切り。ただ後半はそれをどう生かすか?
個人的には、後半は前半で求めた面積を無視して(ベンツ切りで求めた長さの比は採用して)解いた方が楽に思えた。

[9]平面図形(相似)
角度の条件が分かっている四角形の辺の長さの考察。
30度問題の応用で、類題として2006年ラ・サール[2](5)が挙げられる。
ラ・サール中の方は具体的に長さが求められるのに対し、今年の灘中のは複数組の30度定規を発見する必要があるぶん、より厄介である。

[10]平面図形
正十二角形と正三角形の面積差に関する問題。
本格的なパズル問題で(前半は算数オリンピックの類題ともいえる)、単なる受験算数対策しかしていない受験生はお手上げでは?
元ネタかもしれないのが1987年中央大付属高の入試で、正十二角形は正三角形と正方形のみに分割できることを知っていれば、前半も後半もさくっと解ける。

[11]立体図形(切断)
正四角錐を2平面で切断したときの体積比を求める。
これはもう、断頭三角柱の公式の使用を前提とした問題であろう。
2000年に出題した算数限界編の立体図形の解説に、断頭三角柱の公式を使おうとしたが、当時はまだ飛び道具過ぎて使わなかったという裏話がある。算数はこの間に進化したのだなぁ

[12]立体図形
正四角錐を斜めに貼り合わせたときの高さを求める。
与えられた図は単純な立体2つでシンプルに見えるが、これを貼り合わせた図を書いた時点で「こ…これは手を付けたらエライことになるぞ(汗」と察して欲しい。
これは灘中受験生でも脳みそに汗をかきまくる超難問と言えるだろう。(そもそも条件通りの立体の見取り図を書くことにも困難さがある)
算数の指導要領に錐体が存在していた時代の算数オリンピック決勝レベルと言っても過言ではない。
私は立体図形の内部に合同な立体を見つけ、正三角形の重心の知識を使って解いたが、重心の知識を使わずに解く方法はあるのだろうか?
(はたまたこの問いをきっかけに、「三角形の重心」が受験算数で本格的に使われる布石となったりするのだろうか?)


・第2日算数…満点:100点

第2日はいつものように途中式も必要な大問で構成。

[1]数の性質
小さい方から2番目の約数と大きい方から2番目の約数の和の考察。
この手の問題は「頭で悩む前に手を動かせ」の定石に従い、(1)(2)と解いていくうちに、この操作の本質に気づくはず。
全国レベルの難関校で出題される程度の、ほどよい難易度の問題と言える。

[2]場合の数(倍数判定法)
9桁の整数「8ア8イ8ウ8エ8」を指定された倍数にする問題。
3の倍数や8の倍数判定法を利用して解くことになる。そして(3)は、灘中でおなじみの「余りによって分類する」作業を要する。
(3)を解く際に(2)はヒントにもなっているしワナにもなっているので、ご注意あれ。

[3]時計算
普通に動く短針と特殊な動きをする長針の重なりの考察。
(1)は普通に解くとして(ただし油断すると後半で間違える)、(2)が勝負どころ。
針が出会う瞬間か追いつく瞬間かで場合分けして、前者の場合はある程度調べる必要がある。そして、検証がちょっと面倒な方に答えがあるお約束パターン。

[4]平面図形(反射)
五角形内部を反射する光についての問題。
反射問題の定石に従って、図形ごと折り返した図形を作図していくのがポイント。
長方形や正三角形といったよく見る形ではないので一瞬ぎょっとするが、結局一辺5cmの正方形の方眼に作図できるので、恐れることはない。

[5]立体図形(切断)
正八面体にはめこんだ正六角柱を切断する問題。
灘中対策として正六角柱の切断は演習したとしても、角柱の頂点外の点を通る平面で切断するのは想定外だったのではないだろうか?
しかも(1)からなかなか考えにくく、上から見た図を参考に適切な面を取り出して、相似を駆使していかないと解けない。
(H20灘第1日[12]の要領で、正八面体をさらに大きな六角柱から切り出したものとしてみたが、検証がさらにややこしくなったのでこの考えは捨てた)
もしもこれが立体図形が頻出だった頃の算チャレで出題されたとしたら、難易度★★★★★判定になったであろう。
これは完全なる推測であるが、本当は(2)も2つの立体の体積比を求める問題だったが、切断面の作図の段階でかなりヘヴィなため、作図だけで終わるように変えたと予想。
難易度が高くしかも解くのに時間がかかる大問につき、(他の取れるべき問題が取れれば)深追いしない方が良いだろう。


今年度の灘中算数は、第1日第2日とも難易度の面で非常にメリハリのきいた出題で、番狂わせは起こりにくそうだが、点差は例年より開きにくそうな印象である。
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【2022/01/22 09:48 】 | 中学入試-四国外 | 有り難いご意見(0)
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